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JR浜松町駅と都営浅草線大門駅の間にある、大門交差点。まだ外は明るい夕暮れ時にもかかわらず、会社を早く終えたサラリーマンたちが晩酌を始める場所がある。昭和4年創業の「秋田屋」。店の表には、黄色いビール箱を逆さにした即席テーブル、周りに設置された簡易カウンター。店の中に入れなかった人々は、ここで身を寄せ合うようにして晩酌を楽しむ。
「先代が麻布十番で小さな立ち飲みを始めて、戦後は新橋の闇市に移転。それから昭和32年にここへ来たんですよ」と話すのは、ねじりハチマキ姿が凛々しい2代目の金澤逐佑さん。半世紀以上もこの店を守り続けた人だ。
この店の人気は、特製たたきともつ焼き。店に来て食べない人はいない名物料理。「普通つくねっていうとニワトリでしょ?でもうちは豚肉。創業当時は、なかなか手に入らなかったわずかな肉を骨と一緒に一生懸命叩いて美味しくして、軟骨のタタキとして売ってたんだよ」。串にたっぷりと肉が巻き付いたボリュームのある逸品で、青のりをふりかけ、香辛料が効いたスパイシーなタレでいただく。
頬が落ちるほど旨いのだが、おかわりはできない。1人1本限定なのだ。「豚の軟骨は、ちょうど気管の部分。豚1頭から2串分しか取れない貴重な部位なんだよ。噛みしめたら一番美味しいとこ」。たっぷりのニラを肉に混ぜ合わせながら金澤さんは続ける。「昔は沖仲仕といって、このあたりは労働者が多くいてね。だからあえて、今のように柔らかくしないでもっとガリガリ歯応えのある状態にして出していた頃もありました」。焼き場から50年以上も客を見てきた金澤さんは話す。
「うちは、もつも自慢なんですよ」。生の状態で仕入れ、各部位をさばくので、鮮度にはこだわっているという。「それに、創業当時から既製品は一切なし!お新香から何からぜんぶ自家製なんだよ。それと人気のひずなますもオススメ。塩鮭のはなっつら(軟骨)を5時間ほど酢漬けにした珍味」。もうひとつの名物、煮込みは隠し味の白味噌が利いた、後味あっさりの塩ベース。「牛の小腸とギアラ(第3胃袋)を下茹でし、注ぎ足しの汁で7時間以上ぐつぐつ煮込むんです。あっさり味だから、おかわりする人も多いんだよね」。今日は早めに切り上げて、夕方からクイッと一杯。たまにはそんな日があってもいい。
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