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神田須田町・ぼたん【かんだすだちょう ぼたん】




かつては東京で一番人が集まり、賑わっていた場所、神田須田町。その繁盛ぶりを偲ぶように有名店が軒を連ねる。歴史を感じるこの街をぶらり歩くのも一興。その須田町に、鳥のすきやきを食べさせる老舗がある。須田町交差点から歩くこと約1分。もの静かな路地の一角に料亭は佇んでいる。名店「ぼたん」だ。昭和4年建築の日本家屋は、意匠を凝らした欄間や古いガラス戸が古き良き職人の時代を今に伝える。

遡ること100余年前。「明治30年頃のこの街は、羅紗屋(らしゃや)と呼ばれる生地屋さんが多く営んでいた場所だったのですよ」と話すのは、四代目店主の櫻井一雄さん。聞けばこの店の初代は元々羅紗屋の奉公人で、その羅紗屋店主が持っていた料理店を譲り受けたのが店を始めるきっかけだったとか。「庶民の間にも洋服が流行しはじめ、ボタン部門に所属していた初代が、そのハイカラな言葉を店名につけたのが由来です」と櫻井さんは言う。毎朝、千葉県産の生後60〜70日のひな鳥を丸のまま仕入れて調理場で解体。

「モツだって新鮮なんだからいれてみたらいいのに、というお客様の言葉をいただき、皮やモツなども一緒に入れて召し上がっていただくようになりました」と柔和な笑みをたたえて話す櫻井さん。しっかりと味のある卵もこだわりだ。「子供の頃、わざわざ茨城からかついで売りにきていた玉子屋の卵が絶品でした。その濃厚で味のある卵に限りなく近い卵を厳選しています」。

備長炭で熱くなった鉄鍋に、鳥の脂身で油を引いて肉を軽くいためる。そこへ店自慢の割り下をじゅっと入れる。煙が一瞬たちのぼり、芳ばしくて甘い香りが鼻をくすぐる。淡白な胸肉、もも肉と卵をあわせたタタキ(つくね)、レバーをはじめそれぞれに深い味わいのある各種モツ。甘くてジューシーで歯ごたえのある鳥の旨味を贅沢に堪能できる。そして名脇役には、出汁を吸い込んだ白滝、焼き豆腐、ネギ。これらを思う存分楽しんだ後は、鍋に玉子を割り入れて一煮立ち。茶碗の飯にそれをかければ、〆めの親子丼が出来上がり。しゃっきりした歯ごたえの自家製きゅうりのぬか漬けを箸休めに食せば、これまた極楽。ぼたんは、今もかわらぬ味と製法で、鳥すきやきを食べられる老舗の名店なのである。


 おすすめ
鳥すきやき(一人前)
6700
みつば和え
800
やき鳥・もつ焼(各一人前)
700

所在地 東京都千代田区神田須田町1-15
営業時間 11時30分〜21時(入店は20時まで)
休業日 日・祝日
席数 120席
お問い合せ 03-3251-0577