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清澄通りと新大橋通りが交わる森下交差点。ここに、居酒屋好きが足繁く通う有名店、「山利喜」が暖簾を揺らす。大きな赤提灯と、小さなタヌキの石造が目印だ。新館は3F建てのモダンな建物で、本館と同じタヌキが店先で客を出迎えている。
ここは大正15年創業の老舗。水運業者や市場関係者などの多い下町、森下で初代山田利喜造氏が店を構えた。しかし東京大空襲で初代は若干42歳で他界、店は全焼。2代目山田要一氏が「1からやり直そう」と木場で人足の仕事をして資金を集め、昭和27年、現在の場所で再建を果たした。調理人ではなかったが、下町の食道楽が功をなして、今も味に定評のある看板メニューを考案。それが、煮込みだ。
朝9時から鍋に火をつけて、丹念にアクをとりながら肉を煮込み始める。13時に味噌とザラメ、玉子を加え、14時に火を消して約2時間じっくり味を染み込ませる。16時、開店へ向けて火を入れる。「あとは時間がうまくしてくれるんだよ」と話すのは3代目店主の山田廣久さん。フレンチのシェフから居酒屋店主へ転身をとげた人だ。
「ブーケガルニと赤ワインを足して、味によりふくらみをもたらしたんだよ。それで、遊びゴコロで煮込みを焼いてみたら、すごく香ばしい仕上がりだったんだよね」。山利喜の煮込みは、素焼きの皿で焼かれて、グツグツ煮たった状態で運ばれる。「熱いものは熱いうちに。料理の基本だね」と店主は笑う。最後の一滴までしっかりと味わいたいなら、別注のガーリックバターを塗ったバゲットをひたして食べてほしい。3代目ならではの新感覚で、2度美味しい煮込みになっている。
やきとんは、毎日市場から仕入れる新鮮な豚の内臓を炭火で焼き、2代目考案以来の継ぎ足しのタレ(豚の食道部分で出汁をとった甘めの味)か3種のオリジナルブレンド塩でいただく。部位によって様々な歯ごたえや味わいが楽しめ、鮮度を徹底しているためクセがなく女性にも人気。冷たいビールにも、これまたよく似合う。
昭和60年に、コの字カウンターのみの店内をカウンターとテーブル席に改装。平成5年には2階建てにして現在の本館の姿となった。平成14年6月にオープンしたモダンな新館もおすすめ。山利喜は、今年、創業81周年をむかえる。
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