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飲み屋が多く並ぶ自由が丘駅裏側の賑やかな通りに、自由が丘で一番古い居酒屋「金田」が店を構える。戦前のころからこの場所で居酒屋を営み、自由が丘の歴史とともに歩んできた。ガラリと戸を引き、濃紺の暖簾をくぐると“金田酒学校”の文字。店内に踏み入るとコの字が二つ並ぶ30席のカウンター。その静けさに驚く。「親父の代から変わらないポリシーを守り続けています」。そう話すのは2代目の金田圭市さん。「この店は、静かに酒を飲みたいと思った親父が作った店。その思いを私も受け継いでいます。ですから3名以上の場合は2階へ。人数で酒を飲むとつい声が大きくなりますからね。カウンターは、1人で自分のペースで酒を味わうためのスペースなんです」。外国航路の船乗りだった初代が司厨や各港での体験を経て、一杯飲み屋を始めたのは70年前。店内には、開店当初の雰囲気を伝える絵がかかる。多くの著名人たちも足繁く通い、皆、売れない頃から酒を飲みにきていたという。「酒のんでクダまいて、『君ら!』と親父に酒のたしなみ方を教わったのでしょう。ただそれは、物を大事にする心からの発想。穀物を原料にする酒を粗末に扱うことはご法度だったのです」。物に対する愛着心が客にも浸透し、いつのころからか金田酒学校と呼ばれるようになり、本当の酒のみだけが集まる場所となった。
「春は山菜、夏はハモ、秋は木の子、冬はふぐ、すっぽん…。お勧めは、季節の旬のもの。料理の味は、料亭にも負けない」と話す3代目。自負するだけあって、料理は全て、板前の愛情を感じる珠玉の逸品ばかり。大衆居酒屋であるが、こんなレベルの高い料理があれば静かに味わいたくなるもの無理はない。
「今は若い人を育てるのが課題。どこの店でも飲んで騒ぐのだから、1人時間に浸れるという気持ちを持ってくれると嬉しいですね。怒られたけど、個人的に店にきて、それなりの味で時間を潰して、また行きたいと思って欲しいですね」。目尻にたくさんのシワを寄せて2代目がやさしく笑う。そして、今夜も生徒ならぬ酒徒たちが、酒の時間を味わいに来る。
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